マーケティング戦略の立て方を解説|具体的な戦略から実行までのプロセス

本記事ではマーケティング戦略の立て方を解説します。具体的に戦略を立てるステップや陥りがちなミス、重要なポイントもお伝えしていきます。

貴社のマーケティング戦略を考える際にお役立ていただければ幸いです。

私自身、経営を10年行ってきましたので、マーケティング戦略の重要性や経験は肌身で感じてきました。

マーケティング戦略の王道から私自身の経験も踏まえてご紹介します。

マーケティング戦略とは?重要性とよくある失敗

まずはマーケティング戦略とは?についてご紹介します。世の中には「マーケティング」という言葉の意味を色んな意味や言葉で定義している方がいるため、人によって、少しづつ捉え方は違うものでもあるかもしれません。

私の中の「マーケティング」とは「経営」と結論づけています。世の中で最も有力な解釈として「売れる仕組み」とか「集客」というような言葉が使われていますが、私自身経営をしてきて思うのはマーケティングは「経営そのもの」であるように思います。

もう少し詳しく話すと、マーケティングとは商品を売るための包括的な活動というふうに訳されることも多く、それすなわち経営だと思っているからです。経営には人事や財務などマーケティングと一見関係ないことに思われる点もありますが、商品を売るためには、人事や財務も関わってくるため、結局「マーケティング」とは「経営」という言葉で私は理解しています。

とはいえ、マーケティングを分解していくと結局のところ「集客」と「人事」に行き着くことが多いです。

それでは「戦略」という意味についてもご紹介します。

私の中の戦略とは「効果的なリソースの選択」という意味で解釈しています。戦略に関しても、あらゆるところで、色んな意味で解釈されているのではないかと思います。私が「効果的なリソースの選択」と捉えている理由についても少し触れさせてください。

これを捉えるには戦略が必要ないケースを考えるとわかりやすいように思います。

戦略が必要でない場合、つまり、「リソースが無限」の場合はどういう時か。

リソースというのは、ビジネス上でいえば、「ひと・もの・かね・時間・情報」などですね。これが無限であることは実際には起こり得ることはないに等しいと思いますが、仮にリソースが十分にあった場合には、戦略は必要なく、思いついたことを全て行えば良いということになります。

しかし現実では、限られたリソースで動かなければなりません。そのリソースを効果的に使うには何に使うのかということが戦略であると思っています。

つまりはマーケティング戦略とは、「好循環な経営を行うための効果的なリソースの選択」という意味に解釈できます。

もう少し、簡単に言うなれば、「何に人と金を使い、集客と人事を成功させるか」とも言えるかもしれません。

よく言われているマーケティング戦略で「広告が良い、YouTubeが良い、SNSが良い」というのはあくまで「HOW」の話でしかありません。

それよりも「誰に(WHO)」「何を(WHAT)」売るのかということが重要です。マーケティング戦略を考える上で、この「WHO」「WHAT」「HOW」「ペルソナ」「カスタマージャーニー」を考えましょう、という文言がよく出てきますが、それは「効果的なリソースの選択」をするために必要だということです。

マーケティング戦略の重要性とよくある失敗

マーケティング戦略の重要性はすでに、成長している企業を見れば明白ですが、限られたリソースを効果的に活用することが出来れば、企業は儲かります。そして、社員の給料も上がります。社員の家族も美味しいご飯が食べられるでしょう。

企業は儲かれば、さらに新商品を開発できます。画期的な商品が出てくれば、世の中は便利になります。

マーケティングがうまくいくということは多くの人を幸せにしてくれるのだと思います。

ところがマーケティングやマーケティング戦略についてあまり理解していない方が非常に多く、「とりあえずSNSがトレンドになっているみたいだからやってみよう」「みんなもっているHPが必要だ」という思考になってしまいます。

また、戦略なき施策を行うことで、「思ったような効果が得られない」「正しくできているかわからない」という問題に直面します。結果、予算の無駄遣い、経営状態の悪化という状態になって繋がってしまいます。

それではマーケティング戦略の中身について少し触れたところで、早速マーケティング戦略を立てるステップを見ていきましょう。

マーケティング戦略を立てるステップ

マーケティング戦略を立てるステップは主に3つです。

  1. 調査・分析
  2. マーケティング戦略立案
  3. マーケティング施策の実行

ステップ1:調査・分析

ステップ1は調査・分析です。主に3C分析を行うことで、どのようなマーケティング戦略を立てていくかの材料になります。

市場・顧客を理解する

調査・分析の1つ目は市場・顧客を理解することです。業界やエリアなどの市場を調査することと、顧客像や顧客の課題を調査することになります。

市場環境はネット上の情報で調査することで対応が可能です。

市場動向や、業界の動向、地域統計などを調査します。これを知ることで、顧客の母集団である市場が理解でき、顧客の大まかな流れを掴むことができます。

顧客理解は調査・分析の中でも最も重要な要素だと思っています。ターゲットは誰なのか、どこにいるのか、どんな課題を抱えているのか、どんなメディアを見ているのかなど、企業が商品を販売していくにあたって、ユーザー目線が最も重要だと考えます。

顧客を理解する方法としては主に下記のものがあります。

  • 顧客データ分析
  • ユーザーインタビュー
  • 営業やカスタマーサクセスへのヒアリング
  • アンケート
  • 口コミ調査
  • SNS調査
  • 商談内容の確認
  • お問い合わせ内容の確認

顧客に接している部門の方の意見を聞くことや、ユーザーに直接意見を聞くことで、顧客像がより詳細に理解できるため、必ず実施しましょう。

自社を理解する

2つ目は自社の理解です。

意外と抜け落ちる傾向にあるのが自社の理解かもしれません。感覚的に自社のことは理解しているという社員が多く、実際の言動と行動には乖離があることもしばしばです。

自社の商品の強みはなんなのか、最も顧客の購買理由になっている機能はなんなのかなど改めて自社を理解することは非常に重要です。

中には商品力ではなく、提案力や、コミュニケーションなどのソフトスキルの部分で購入に至っていることも少なくありません。

自社の強みがなにかを社内のワークショップを開き、理解を深めましょう。

フレームワークとして、SWOT分析や4P分析を活用することも効果的です。

競合を理解する

3つ目は競合の理解です。

競合を調査し、理解を深めることで、自社が攻めていくポジションが明確になることや、競合は行っているが自社で出来ていないことの発見などが見えてきます。

競合を理解するには以下のステップで進めると良いです。

  1. 競合の特定
  2. 仮説立案
  3. 調査による仮説の検証

競合を特定するには、同じ業界のトップ企業や、自社とマーケティング戦略が似ている企業

、同価格で商品やサービスを提供している企業をピックアップすると良いでしょう。

競合が特定できたら、なぜ競合はうまく行っているのかの仮説をいくつか上げてみましょう。

例えば

  • 主要キーワードで上位に表示されている理由
  • 選ばれている理由
  • 同価格帯のサービスと違う点は何か

などうまくいっている理由の仮説を立案します。

仮説立案したら、さらに調査を深掘りしていきます。

どんなメディアで露出しているのか、商品の強みは何を打ち出しているのかなど、自社に足りていない部分や顧客が求めているものと乖離している部分はあるのかなどを調査していきます。またユーザー調査と合わせて仮説を検証していきます。

ステップ2:マーケティング戦略の立案

これまでの調査・分析をもとにマーケティング戦略を立案していきます。

主に作成するものとしては下記です。

  • ターゲットシート(ペルソナシート)
  • POD
  • カスタマージャーニー
  • 価値の提案書

これらを作成するためにマーケティングの基本である、WHO、WHAT、HOWをもとに考えていきます。

誰に(WHO)

市場は顧客の集合体です。市場の中から具体的にどんな人に商品を届けるのかを選定していきます。

ここではターゲットシート(ペルソナシート)を作成します。

例えば、BtoBの企業であれば、上記のようなペルソナシートを作成するとよいでしょう。

前述したように、いくつかペルソナが存在しても良いです。

実際にはこのペルソナ全体に刺さる商品や訴求を打ち出したり、ペルソナ一人に対して、打ち出すなど、戦略を立案します。

どんな価値を(WHAT)

WHO(誰に)が明確になったら、どんな価値(WHAT)を提供するか考えていきます。ペルソナが明確になっていれば、購入理由や他社と比較して、良かった点を強みとして打ち出します。場合によっては新商品を作成したり、既存の商品をカスタマイズすることで、よりペルソナに刺さりやすい価値につながることもあります。

ここではPODを作成していきます。

PODとはPoint of defferenceの略で差別化ポイントとも呼ばれます。

顧客、自社、競合のそれぞれの優位性やニーズを把握するために作成します。

上記のように、顧客、競合の課題や施策などを考慮し、自社のポジションを決定していきます。

具体的に自社が選ばれる理由として、どんな価値があるのかを明確に打ち出すためのシートです。

どのように(HOW)

最後にどのように、ペルソナに対して、価値を届けるのかを策定していきます。

ここではカスタマージャーニーを作成します。

主なカスタマージャーニーの例としては下記です。

ペルソナに対して、各フェーズごとのタッチポイントやコンテンツを考えることで、具体的な施策に落とし込めるようになります。

カスタマージャーニーを作成したら、競合との優位性を考慮しながら、どこにリソースを投下していくのかを勘案します。

価値の提案書を作成する

ここまでの課程で分析できたことを、実際に営業のための資料へと落としこむためにまとめたシートを作成します。弊社株式会社LICTでは「価値の提案書」と呼んでいます。

価値の提案書を作成することで、サービス紹介資料、ランディングページ、ホームページなどあらゆる場面で、適切に価値を伝えることに役立ちます。また、メンバー同士の認識のズレを予防したり、統一したご提案が可能になるため、営業の質を後押しすることにもなり得ます。

計画を立てる

戦略を立てたら、実行計画を立てていきます。

計画立ては主に3つのことを行います。

  1. 目標と期日の設定
  2. タスクの洗い出し
  3. スケジュール設定

目標と期日の設定

まずはいつまでに、どのくらいの目標を達成できそうかということを設定していきます。

KPIとも呼ばれたりしますが、最終的な目標からその間にある細かな目標を設定すると良いでしょう。

例えば、戦略策定の中で、SEO対策を行うという意思決定がなされた場合、下記の目標の立て方があります。

最終的な目標(KGI):年間50件以上の問い合わせをSEO経由で獲得する

細かな目標(KPI):

3ヶ月後→記事作成30本

6ヶ月後→記事作成50本、コンバージョン1件以上獲得

1年後→記事作成70本、リライト30本、月間コンバージョン2件以上獲得

1年半後→記事作成100本、リライト30本、月間コンバージョン4件以上獲得

このように長いプロジェクトであれば、時間軸によって、目標設定するというのも最終的な目標を達成するためには必要です。

タスクの洗い出し

目標が設定できたら、タスクを洗い出していきましょう。大まかなタスクから細かなタスク、ミーティングなどもタスクに出していきましょう。

ここで、どれだけ正確なタスクが出せるかは経験によるものが大きいことが多いですが、未経験の分野に関しては、外注をうまく活用することも検討しても良いでしょう。

スケジュールを設定する

最後に洗い出したタスクをいつ誰が行うのかをスケジュール立てします。

現在では、スプレッドシートの標準機能でプロジェクト管理シートを作成することができます。これを活用することで、タスク、優先度、マイルストーン、実行期間、担当者など複数の管理項目を管理することが可能です。

またタイムライン形式で表示でき、表だけでなく、視覚的にプロジェクト管理することもできるため、決まった管理ツールがなければ、使ってみることをお勧めします。

それぞれのタスクがどのくらいの時間がかかるのかということは経験者でなければわからない部分も多いかと思いますが、外注を利用する、または初動は時間にゆとりを持った計画を立てることで、時間はかかるものの、確実にプロジェクトを進めることに繋がります。

3.マーケティング施策の実行

最後にスケジュールに沿ってマーケティング施策を実行に移していきます。

戦略によって、施策の優先度は変わってきますが、基本的な優先順位は以下です。

  1. 短期的に効果の出る施策
  2. 長期的に効果の出る施策

短期的に効果の出る施策

短期的に効果の出る施策は、主に下記です。

  • 無駄な経費を削減する
  • 広告
  • Webサイトの改善
  • インフルエンサー活用
  • CRMの改善

例としては、すでにサイトにアクセスがあるのであれば、サイトの改善、アクセスが少ないのであれば、広告やインフルエンサーの活用を行うことで、短期的に効果の出やすい施策となります。

またリードが一定数獲得できている企業であれば、CRMの改善を行うことで短期的な効果を感じられることも多いでしょう。

また改めて強みの明確化や、作業の棚卸しなどをするとあまり効果を感じられていない施策も感じられるかもしれません。そのような場合には思い切ってコストを削減することも短期的な効果を感じられます。

長期的に効果の出る施策

長期的に効果の出る施策は、主に下記です。

  • SEO
  • YouTube
  • SNS運用

顧客が誰かということが理解できれば、どのような施策に投じていくかは決まってくると思います。

可能であれば、短期的効果を狙う広告などと合わせて、資産性が高く長期的に活用できる長期的に効果の出る施策を併用して進めていくことで、中長期的に効率のよいマーケティング活動へと繋がります。

実行もただやるだけでなく、品質高く行うべき施策もあるかと思いますので、必要に応じて、専門家など外部の人を活用しても良いでしょう。

マーケティング戦略で陥りがちなミス

マーケティング戦略を考える上で陥りがちなミスや勘違いをいくつかご紹介します。

戦略さえ組めば成功する

1つ目は戦略さえ組めば成功するということです。どんな大企業でも、マーケティング戦略は成功確率をあげるために行うものです。100%の正解がないからこそ、常にリスクを考えながら戦略を組むことは重要です。

大企業じゃないと意味がない

マーケティング戦略というと、大企業じゃないと意味がないという人もいます。確かに、リソースが豊富な大企業の方が戦略をより効果的に感じやすい側面もあります。

一方で、中小企業などリソースが限られているからこそ、限られたリソースをどこに投下するかは企業が成長する上で非常に重要でないかと思います。

リソースで勝てないからこそ、自社の強みを明確にすることや、ペルソナの解像度を高くすることで、刺さる訴求につながります。

中小企業こそ、マーケティング戦略は重要であると考えています。

結局実行できない

3つ目に戦略は考えたものの、結局実行できないというミスも起こりがちです。プロジェクトがうまくいかない理由は様々ですが、PMBOKを取り入れることでプロジェクトの成功確率を高めることが可能です。

PMBOKはプロジェクトマネジメントのフレームワークとして最も有名で、プロジェクトを成功させるためのマニュアル的考え方になります。

PMBOKの詳しい内容は割愛しますが、中でも起こりがちな問題について紹介します。

1つ目は進捗遅れです。どれだけ綺麗なスケジュール管理表を作っても進捗が滞ることはよくあることです。思わぬトラブルが出てきたり、単純に作業のスピードが追いつかないなど理由は複数存在します。

進捗遅れを防ぐ方法としては、とにかくマネージャーなどの管理職の方がマメに連絡を取ることです。どこまで進んでるか、心配なタスクはあるかなどを日々確認するやりとりを行いましょう。

2つ目はコスト管理です。初期の段階で想定していた予算外の費用が発生することもよくあります。これは1つ目の進捗遅れも理由の一つになり得ますし、KPI達成が難しく、方向性を修正する必要などが出てくるからです。

最も重大なミスにならないためには、撤退ラインを決めておくことです。いつまでに、この予算をかけて、この目標を達成できなかったら撤退というラインを決めておくことで最小限のリスクで食い止めることに繋がります。

目標を決めると同時に撤退ラインもあわせて決めておきましょう。

上記の注意点を意識して、マーケティング戦略を考えてみると良いでしょう。

マーケティング戦略の重要なポイント

マーケティング戦略の中で最も重要だと思うことは、まずは小さく始めてみることです。もし今まで、適切なマーケティング戦略を考えたことがないということであれば、おそらく考えることがありすぎて、挫折してしまうこともあるかもしれません。

私たちも、飲食店経営を行っている中で、小さなプロジェクトをたくさん経験してきました。

例えば

  • 新商品の開発
  • LINEの登録増加
  • 教育体制の構築
  • BtoBマーケティング戦略の構築

マーケティング戦略と難しくいうよりも、今起こっている課題をリストアップして、3ヶ月は1つに絞って、戦略を考える、計画を立てる、実行するということに集中してみると良いと思います。

マーケティング戦略は、リソースをどこに集中するかを決めるということですので、まずは1つに絞るということから始めてみましょう。

まとめ

本記事ではマーケティング戦略の立て方についてご紹介してきました。やるべきこと、出来ることはどの企業でも多くあるかと思います。

基本に戻り、お客様ファーストでリソースを集中するということを念頭に一つずつ丁寧に進めることで、企業として確実に成長に迎えるのではないかと思います。

弊社でも、マーケティング支援を行っていますので、戦略から実行まで一貫してサポートして欲しい、スポットで支援して欲しいなどがありましたら、一度無料ご相談をご利用ください。

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