社内でのコミュニケーションは複数人の会社であれば、必須のことだろうと思う。しかし会社の成長やオンラインシフトにより、コミュニケーションの取り方は次第にオンライン上でのことが多くなる。
そんな時、実際に対面でのコミュニケーションをとるオフラインコミュニケーションとの違いに気付く人も多いのではないかと思う。
今回はそれについて私の考えを述べてみたいと思う。
コミュニケーションがもたらす価値と認識
そもそも社内でコミュニケーションを取ることによってどのような価値があるのか、またはどのような認識を持たれているのかを漠然と理解している人も多いと思うが、頭の中を整理することを含めて書いていきたいと思う。
一般的にはコミュニケーションがもたらす価値や認識は以下のようなものがあげられるだろう。
- 他人の意見を聞くことが出来る
- 他人の性格を知ることが出来る
- 双方の理解を深めることが出来る
- 信頼関係の構築につながる
- 作業効率が上がる
- 不透明な部分が言語化される
- コミュニケーションは個人の問題であり、組織の問題ではない
- コミュニケーションと生産性はそこまで関係しない
- 対面コミュニケーションは組織のスピードを遅くする可能性がある
- コミュニケーションは組織を混乱させる
- コミュニケーションは時間の浪費にもなりえる
- コミュニケーションよりは非常に曖昧なものの集合である
このように価値や認識をしている人が多いのではないかと思う。
ここでは価値に対して認識のズレがあることも理解できると思う。
例えば、信頼関係の構築につながる一方で時間の浪費にもなりえるということはこれをみているあなたも経験しているのではないかと思う。
これは本人の捉え方にもよるところなのだが、飲み会などのコミュニケーションは実際に会社にとってメリットがあるのかという議論はそこら中でされていることと思う。
飲み会自体が売上に直結するわけでもなければ、むしろ、会社の経費を使っているとすればマイナスのようにも感じるだろう。
しかし、その会があることによって、離職率が下がっているのであれば、人材採用費用が節約されていることにもなるわけだ。
これは会社の利益による部分に過ぎないが、離職率が下がることによって、管理職以上の人間の作業が減るということにもつながるし、そもそも小さな会社の社長であれば、離職率が軽減されることがどれだけメンタルに安定をもたらすかは言うまでもないことだろうと思う。
このようにコミュニケーションの価値や認識のズレが多少なりともあるが、それは会社にとってどちらにも作用するという認識はおそらく認識しているだろう。
逆にいうとコミュニケーション不足であるがゆえに上記のような価値をえられないばかりか、モチベーション低下やストレスなどのメンタル部分に大きく影響することがわかると思う。
頭の整理を終えたところで、オンラインとオフラインのコミュニケーションの違いについて見てみよう。
オンラインとオフラインのコミュニケーションの違い
当社でもエリアの拡大や人材が増えてきて、オンラインでのコミュニケーションが増えたことは事実としてあるし、社内のスラックも導入してきた。
時にはビデオコミュニケーションも実施した中で、オンラインとオフラインのコミュニケーションでどこが違うのかを述べていく。
- オフラインだと沈黙や反応しないなどの悪い空気を読み取れてそういった状況での反応が高い傾向があるが、オンラインだとその悪い空気が長続きする場合がある
- チャットツールなどは反応率がとても下がる傾向にある
- チャットだと提案する側の書き方によって反応を取りづらいことが起こりがちである→例)こんなことしたいと思うんですがどうですか?・・・「シーン・・・」あるいは「良いと思います」
- 補足で話しておきたいことがあった場合、対面であれば続いてすぐに話せるが、チャットだと面倒さもあってか補足が適当になる。結果的に誤解が生まれやすい
- オンラインだと仮に仲のいい会社であっても、仕事感が強くなり、思ったような意見が飛び交いにくい
- オンラインだとツールの使い方から教育していかなければならず、そもそも導入が後回しにされやすい
- オフラインでのコミュニケーションの方が仕事以外の雑談が多く挟まれることが多い
- チャットであれば対面に比べて細かなことを話しやすい
- オンラインであればデータのやりとりが容易にできる
経験からわかることとしてこのような違いがあると思っている。
さてこれらの違いを埋めていく、あるいは両方の使い方を認識し、メリットを際立たせる形で使い分けたいと思っている人も多いのではないかと思う。
しかしそれについて正解はこれだということをいうつもりはさらさらない。そんなことを書いたところで具体性にかけるということと、当たり障りのないことしか書けないからだ。
そうではなく、私たちが実際に様々なコミュニケーションをとってきた中で特にどの点を改善しなければいけないのか、どのように使っていくことが良いと思っているのかについて語っていきたいと思う。
オフラインとオンラインでのコミュニケーションの使い方として私たちの改善したい点は次の通りであると思っている。
- オフラインでもオンラインでも言うべきことを言えるようにする
- 提案や伝え方の苦手な人であっても、できる限り要点が主張できるようにする
- 反応が欲しいことに関して反応をするような体制にする
以上の3つを具体的に解消することを考えた。
もう少しそれぞれについて補足しておこう。
オフラインでもオンラインでも言うべきことを言えるようにする
これを掲げた理由は、個人の本来のパフォーマンスを発揮できないということを思ったからだ。本当はこのように言いたいと思うことでもオンラインだと言えなくなることがあった。それは本人のパフォーマンスが出せていない典型的な例だと思う。
もう一つはオンラインだと自分が何者になったかのように、自分を高く見せようとしてしまうことがあったり、口出ししてはいけないなどの不本意な感情を産んでしまうことあったからだ。
対面であれば、思ったことをすぐに口に出せるが、オンラインであると一度考えてから発信するようになる。そうすると無駄に丁寧な言葉を使ってみたり、逆に考えた結果自分ごときがいうことではないのように逃げのポジションを取るようになってしまうことがある。
これらの理由からオフラインでもオンラインでも言うべきことを言うというのは重要なことであると思った。
提案や伝え方の苦手な人であっても、できる限り要点が主張できるようにする
次の改善したい点については、提案や伝え方の問題だ。これは会社員であれば、よく話題になることだが、オンラインでのコミュニケーションになると特に顕著になると思った。
オンラインだと手軽に提案ができる一方、その伝え方については疎かになりがちだ。
特に営業職でもない限り、提案や伝え方について教育を受けている人はとても少ないだろう。
それゆえに伝え方が上手とは言えない人がとても多くなる。
またその伝え方によっては反応をする側が困る場合も多い。
「〇〇はどうですか?」と言う質問をしてしまったら「良いですね」くらいしか反応のしようがなくなってしまう。
また提案内容がどのような背景からその発想になったのかを知ることによって、より価値ある企画になる意見をもらえることも多くなるだろう。
伝え方によって、コミュニケーションそのものに対しても影響を及ぼすし、会社のメリットにつながる場合も考えると放ってはおけない問題だろうと思う。
以上の理由から2つ目の改善とした。
反応が欲しいことに関して反応をするような体制にする
3つ目として反応する側もそれなりの知見を持っておかなければいけないと言うことだ。反応の取り方によっては相手に嫌な思いをさせてしまうことも往々にして起こりえるだろう。
これはオンライン、オフライン関係なく、大抵の人は感じたことがあるのではないだろうか。
反応する側もそれなりの注意を払わないと不快に思う人間が増えてしまう。
超基礎的なことだが、認識の薄さによってよく起こりがちだったので、これも改善点に入れた。
以上の3つが私たちの改善点だ。
わかる人にとっては非常に基礎的なものも含まれるため、軽率にしがちだが、これを組織として実現することはそんなに簡単なことではない。
それでは次は実際にどのような施策が良いのかについて具体的なものをあげていく。
オンラインコミュニケーションを取るための具体的な施策
それでは実際に具体的な施策について書いていくが、先程あげた3つの課題を解決するための施策であることを思い出しながら見てほしい。
今回紹介する具体的な施策は以下の2つだけだ。
- コミュニケーションのルールを決める
- テンプレートを作る
非常にシンプルかつ、王道な方法だが、実際に私たちが現時点で取り組んでいるものをそのまま紹介する。
世の中の記事は非常に抽象度が高いものが多く、自社にどのように取り入れたら良いのかわからない内容が多い。
今回紹介するものはまだ道半ばであるかもしれないが、実際に使っているものなので、もしまだオンラインでのコミュニケーションを取り入れて決まり事のない会社であれば、真似して導入してみると良いかもしれない。
それでは紹介していく。
ルールを決める
まずはどの程度機能するかははっきりとはしないが、ルールを設けることである程度の意識改革になると思ったので、ルールを決めることにした。
基本的には行動ベースで作っていて、こういう時はこのように対処する。といったものだ。
こちらのルールは主にチャットツールでのルールだ。自社ではスラックを用いて、日報やイベント、シフト管理などのチャンネルを分割してそのテーマによって発信することにしている。
またこのスラックに属している当社のメンバーは4人のみで基本的には社員の中の一部の人間のみにしている。
それでは紹介する。
- 週に1回以上は日報に業務に関する内容を書き込む
- 質問や提案などがあれば、必ず反応する
- 言葉遣いは敬語をできる限り使わない
- テーマごとのチャンネルで発信する
- どのテーマに属すかわからない内容であれば、日報に書く
- 周りくどい言い方はしない
- 内容が不適切な場合、すぐに社長に報告する
- あまりにも角が立つ言い方をしていると感じた場合、すぐに社長に報告する
- メンバーにシェアすべき内容かどうかを考える
- もしシェアすべき内容か迷ったら社長に直接連絡を入れてからにする
以上のルールだ。
ルールはどの程度細かくするべきかは悩むところだが、あまりに抽象的な内容であれば実行力にかけると思うし、細かくし過ぎれば逆に発信しづらくなることを懸念した結果がこの形になっている。
テンプレートを作る
次はテンプレートを作ったので紹介する。
今回紹介するテンプレートは提案などをする場合の提案書だ。
提案書に関してはあくまで社内の共有用として作ったものであることを認識しておいてほしい。
テンプレートを用意することで報告や提案をしたことがない人間であっても書きやすくなるというメリットがある。
当社も基本的には飲食店従事者ばかりだからその点については慣れていない社員が多い。その点を加味して、注意書きやシートの使い方を言語化して示すようにしている。
また今回作ったテンプレートはスプレッドシートで作ったもので、これらをダウンロードして書き込み、データとしてスラックにあげることで見やすく使い勝手の良いものになる
それではその提案書のテンプレートがこちら。
ダウンロードは下記のリンクをクリックしてください。『コピーを作成』すると編集することができます。
この提案書は私が尊敬するbaigieさんの記事を元に作ったものだ。こちらの会社で提供されているものは主に営業用の提案書というものだが、これを自社用にカスタマイズして作ったものになる。いつも参考にさせて頂き、大変勉強になるので、もし興味がある方は覗いてみてほしい。
オンラインコミュニケーションを導入することで可視化される事柄が増える
最後に私がオンラインでのコミュニケーションを積極的に取り入れてから最も思ったのが会社組織として見えるものが圧倒的に増えるということだ。
やはりコミュニケーションをマメに取ることによって、今まで見えてこなかった感情や、どの点がうまく伝わっていないのかなどがどんどん浮き彫りになってくることを感じた。
それによって、改善するべくタスク量が増えるということもあるし、時には混乱を招くこともあるかもしれない。
しかし、会社のことを思えば、毎日なんとなく過ごし何も変わらないという思い込みの下降線を辿るくらいであれば、積極的に取り入れ、改善に生かすべきだと考える。
あなたの参考になれば幸いだ。